このように、亡くなる直前まで元気に生活されていたのはキンキンだけではないのです。大沢親分も、健さんも文太さんもそうでした。しかも皆さん高齢です。その点から考えると、悲痛な記者会見から1カ月で亡くなった俳優の今井雅之さんは対照的です。享年54とまだまだ働き盛りでした。
元気に仕事ができた3人の高齢がん患者さんに共通するのは、末期になってから負担の大きな抗がん剤治療を受けなかったこと。今井さんのように抗がん剤の副作用で痩せ、痛みに苦しむようになると、死期が近くなり、寿命を縮める結果になることさえあります。
ときには、体への負担が大きい治療をせず、がんと闘わないことが、ベストな戦術となることもあるといえます。
中川恵一・東大医学部付属病院放射線科准教授
Dr.中川のみんなで越えるがんの壁