専門家に聞く 過敏性腸症候群「ストレスで起こる」は大間違い

写真はイメージ(C)日刊ゲンダイ

 検査をしても腫瘍や炎症が見られないのに、下痢、便秘、腹痛、下腹部が張るといった症状が表れる過敏性腸症候群(IBS)。

「ストレスが原因」と考えている人も少なくないが、これは大間違い。「女はつまる 男はくだる」などの著書がある国立病院機構久里浜医療センター・内視鏡検診センターの水上健部長は言う。

「“IBS=ストレス”と考えている医師も現状ではかなりいます。しかし、ストレスが原因の場合、患者さんがまず原因のストレスを自覚している。“ストレスはあまりない”と言う患者さんは、別の原因の場合がほとんどです」

 IBSの原因で見落とされやすいのが、「大腸の形の異常による通過障害」だ。日本人の8割は大腸の一部がねじれていたり、あるべき位置から離れて骨盤内に落ちていたりして、便がスムーズに通過しにくい。胆汁による過剰反応やコーヒーの飲み過ぎ、お酒の飲み過ぎが下痢を引き起こしていることもある。腸の炎症やがんでも便秘や下痢になることがあるので、続くようなら念のため医療機関を受診したほうがいい。

「原因を思い込みで治療すると、症状が良くならないばかりか、悪化する患者さんも少なくありません」

 原因によって対処法は違う。たとえば、大腸がねじれているなら、体をひねる運動などで症状は改善される。

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