通常なら、ひとまず自覚症状が出るまでは経過観察で様子を見る段階でした。まだ必要のない手術を受けたことが、深刻なトラブルを招いてしまったのです。
もちろん、中にはすぐに手術が必要な心臓病もあります。解離性大動脈瘤(大動脈解離)、重症の大動脈弁狭窄症、虚血性心疾患の左冠動脈主幹部病変の3つが代表的なもので、いずれも突然死する恐れがある病気です。これらの病気が見つかった場合、だいたい1カ月以内に手術が行われます。
上記以外の心臓病でも、手術以外の方法では病状が悪化の一途をたどる患者さんは手術を受けた方がいいでしょう。利尿剤や強心剤を使っても、どんどん悪化してしまうようなケースです。
また、患者さんの生活の背景によっては、早めに手術を受けた方がいい場合もあります。飛行機などを使った移動が多い仕事をしているなど、心臓に負荷がかかりやすい環境で生活している人がそれに当たります。
天皇の執刀医「心臓病はここまで治せる」