天皇の執刀医「心臓病はここまで治せる」

心房細動は感知できる病気


 今年の1月に心房細動と診断され、現在、抗不整脈薬による治療を行っています。このままずっと投薬治療を続けなければならないのでしょうか? 心房細動を完治させる治療法はありますか?(61歳・男性)


 これまでたびたび取り上げてきましたが、心房細動は不整脈の中でも多くみられる病気です。心臓が細かく不規則に収縮を繰り返し、動悸や息切れなどの症状が出ます。

 長期間続くと心機能低下に伴って心臓内で血栓ができやすくなり、それが脳に飛んで脳梗塞を引き起こすこともあるので注意が必要です。

 しかし、他に持病がなければ、脳梗塞の予防以外の点では心拍数の管理を気にするだけで、日常生活でそれほど心配する必要はありません。そのため、まずは心房細動や脈拍数を抑える抗不整脈薬や、血栓ができないようにする抗凝固薬による投薬治療が行われます。

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天野篤

天野篤

1955年、埼玉県蓮田市生まれ。日本大学医学部卒業後、亀田総合病院(千葉県鴨川市)や新東京病院(千葉県松戸市)などで数多くの手術症例を重ね、02年に現職に就任。これまでに執刀した手術は6500例を超え、98%以上の成功率を収めている。12年2月、東京大学と順天堂大の合同チームで天皇陛下の冠動脈バイパス手術を執刀した。近著に「天職」(プレジデント社)、「100年を生きる 心臓との付き合い方」(講談社ビーシー)、「若さは心臓から築く 新型コロナ時代の100年人生の迎え方」(講談社ビーシー)がある。