また、体温を調節するために汗をかいて脱水傾向が強くなると血液の量が減ってしまい、少なくなった血液を体全体に送らなければならない心臓は、心拍数を増やします。血栓もできやすくなるため、心筋梗塞や心不全といった心臓病を引き起こしやすくなります。
気温や気圧の急激な変化に対し、体内の状態を一定に保つためのさまざまなシステムが、心臓に負荷をかけてしまうのです。
実際、季節の変わり目になると、心臓にトラブルを起こした患者さんが増えます。急に暑くなった今年の7月初めには、解離性大動脈瘤(大動脈解離)で救急搬送された患者さんの緊急手術を立て続けに2件行いました。動脈硬化や外傷によって大動脈の一部が膨らんで“こぶ”のようになり、何の前触れもなく、いきなり血管が裂ける病気です。1度目の発症で突然死するケースも少なくありません。
天皇の執刀医「心臓病はここまで治せる」