天皇の執刀医「心臓病はここまで治せる」

性生活は相手と場所に注意


 3年前に狭心症の発作を起こし、冠動脈バイパス手術を受けました。現在は体調に問題はなく、投薬治療もしていません。ただ、発作が怖くて妻との性生活は控えています。心配しなくてもいいものでしょうか。(46歳・男性)


 ドクターストップをかけられていない限り、性生活はそれまで通りにしてもらって問題ありません。発作を起こして手術を受けた人でも、体力が回復すれば元気だった頃と同じように性生活を送れるようになります。

 むしろ、心臓手術を受けたことで活発になった患者さんはたくさんいます。心臓は、ホルモン分泌や自律神経の働きにも関係しているため、トラブルがなくなると肌ツヤが良くなったり、白髪が黒くなったりするなど、心身ともに影響が表れます。

 さらに心臓に病気を抱えていた頃、“あなたの人生はここまでですよ”と言われているような気持ちで身も心にもふたをしていた患者さんが、手術で改善したことによって解放されるケースがたくさんあるのです。

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天野篤

天野篤

1955年、埼玉県蓮田市生まれ。日本大学医学部卒業後、亀田総合病院(千葉県鴨川市)や新東京病院(千葉県松戸市)などで数多くの手術症例を重ね、02年に現職に就任。これまでに執刀した手術は6500例を超え、98%以上の成功率を収めている。12年2月、東京大学と順天堂大の合同チームで天皇陛下の冠動脈バイパス手術を執刀した。近著に「天職」(プレジデント社)、「100年を生きる 心臓との付き合い方」(講談社ビーシー)、「若さは心臓から築く 新型コロナ時代の100年人生の迎え方」(講談社ビーシー)がある。