ペースメーカーというのは、脈が遅くなったときに作動して心筋に電気刺激を伝え、心臓を正常に収縮させる装置です。もともと脈拍が遅い体質だったり、失神発作を起こして運び込まれたといった患者さんの場合は、いきなり埋め込むケースもありますが、一般的には、まず薬物治療を行ったり、携帯用の心電計を使って24時間心電図を記録し、拍動の異常を調べるホルター心電図検査を行った後に検討される“最後の手段”といえます。
それなのに、いきなりペースメーカーの埋め込み手術を勧める病院も、残念ながら存在します。ペースメーカーの埋め込み手術は、一般的に約200万円ほど費用がかかります。健康保険が適用されるうえ、高額療養費制度を利用すれば、患者さんの自己負担は10万円程度で済みますが、病院側にとっては“儲かる治療”といえます。
そのため、患者さんにペースメーカー埋め込み手術を受けさせようとするのです。中には、〈ペースメーカーを埋め込めば心臓機能障害1級と認定されて、さまざまな公的補助が受けられる〉などと、患者さんを誘導するところも見受けられます。
天皇の執刀医「心臓病はここまで治せる」