天皇の執刀医「心臓病はここまで治せる」

段階を踏んだ治療で見落としをなくす


 2年前から心房細動の治療を受けています。これまで、カテーテルアブレーションによる治療と、カウンターショックを2度行い、現在は投薬治療を続けています。このまま同じ治療を継続するだけでいいのでしょうか?(65歳・女性)


 心房細動は不整脈の中でも多い病気で、米国では年間20万~30万人、日本でも年間数万人ペースで増えているとみられます。心臓の上の部分にある心房の収縮が極端に速くなる病気で、心臓が細かく不規則に1分間に250回以上も収縮を繰り返します。1週間以内に復元するようなら一過性心房細動、1週間を超えて続くと慢性心房細動と呼ばれます。

 他に心臓病がなければ、それほど心配する必要はありませんが、心房細動が長期間続くと心臓内で血栓ができやすくなり、それが脳に飛んで脳梗塞を引き起こすケースがあります。そのため、まずは血栓ができないようにする抗凝固薬や、心房細動を抑える抗不整脈薬を飲む投薬治療が行われます。

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天野篤

天野篤

1955年、埼玉県蓮田市生まれ。日本大学医学部卒業後、亀田総合病院(千葉県鴨川市)や新東京病院(千葉県松戸市)などで数多くの手術症例を重ね、02年に現職に就任。これまでに執刀した手術は6500例を超え、98%以上の成功率を収めている。12年2月、東京大学と順天堂大の合同チームで天皇陛下の冠動脈バイパス手術を執刀した。近著に「天職」(プレジデント社)、「100年を生きる 心臓との付き合い方」(講談社ビーシー)、「若さは心臓から築く 新型コロナ時代の100年人生の迎え方」(講談社ビーシー)がある。