天皇の執刀医「心臓病はここまで治せる」

具体的なリスクのデータをしっかり確認


 狭心症で冠動脈バイパス手術を勧められていますが、正直、不安です。手術を受ける前に医師や病院側にはどんなことを聞いておくべきでしょうか?(66歳・男性)


 心臓手術の多くは、事前にしっかり診断したうえで計画的に行われる予定手術です。その際、治療の詳しい内容、期待される結果や予後について医師が適切な説明を行い、患者さんに納得してもらったうえで手術をする「インフォームドコンセント」は欠かせません。

 患者さんが担当医師を「信頼できる」と思えるかどうかは重要ですし、医師のほうも患者さんやご家族に十分に納得してもらえれば、スムーズに手術に入れます。医師との信頼関係を築くためにも、不安な点があれば遠慮なくしっかりたずねてください。

 まずは、「その手術は具体的にどれくらいのリスクがあるのか」を確認しましょう。いまは1万~10万例ほどの患者を対象にした「ジャパンスコア」や「ユーロスコア」といったリスク解析モデルがあるので、ハッキリした数字がわかります。

1 / 4 ページ

天野篤

天野篤

1955年、埼玉県蓮田市生まれ。日本大学医学部卒業後、亀田総合病院(千葉県鴨川市)や新東京病院(千葉県松戸市)などで数多くの手術症例を重ね、02年に現職に就任。これまでに執刀した手術は6500例を超え、98%以上の成功率を収めている。12年2月、東京大学と順天堂大の合同チームで天皇陛下の冠動脈バイパス手術を執刀した。近著に「天職」(プレジデント社)、「100年を生きる 心臓との付き合い方」(講談社ビーシー)、「若さは心臓から築く 新型コロナ時代の100年人生の迎え方」(講談社ビーシー)がある。