心臓リハビリにはさまざまなメニューがあります。ストレッチやエクササイズで体をほぐしたり、トレッドミル(ウオーキングマシン)や自転車エルゴメーターなどの機械を使った負荷試験が行われます。その際、酸素消費量、心肺機能変化、血圧といった重要なデータをモニターしているので、「このぐらいの運動では、何も異常は出ません」という客観的な評価を本人に伝えることができます。患者さんはそうしたリハビリ試験をクリアするたびに「これなら大丈夫だ」と自信をつけていくことができるのです。
心臓の機能は回復しているのに精神的にストッパーがかかっている人は、心臓リハビリが環境適合性を高めてくれます。前出の患者さんもそうでした。医療機関側からすれば治療効果をみるものですが、患者さん側からみると客観的評価をもらいながら自信をつけていくことができる有意義なものなのです。
リハビリをしっかりやれば、「手術前よりも心臓の状態が悪くなった」というケースは皆無です。前出の患者さんのように時間がかかる人はいても、「こんなことなら手術なんてしないほうがよかった」という患者さんは見当たりません。
天皇の執刀医「心臓病はここまで治せる」