天皇の執刀医「心臓病はここまで治せる」

治療実績を公表しているかチェック

 心臓血管外科専門医の認定を受けるためには、日本心臓血管外科学会へ治療実績を報告する義務があります。信頼できる病院は、報告した治療実績から割り出したデータを患者さん向けに公開していると考えていいでしょう。紹介された病院に不安があれば、かかりつけ医に相談して変更してもらってください。

 中には、紹介された病院が遠方にあるため、「もう少し近い病院にしてもらえないか」と頼んで変更してもらう患者さんもいます。しかし、そのことであまり信頼できない病院を紹介されてしまうケースもあります。自分の体を守るためですから、自分で、もしくは家族に頼むなりしてデータをしっかり調べ、納得できる病院を探してください。

 経済的な問題があって治療費に不安がある患者さんは、治療件数=手術件数が多い病院なら相談にのってくれる可能性が高いといえます。そもそも日本の病院は、国民健康保険によってかかる医療費の70%は担保されています。治療件数が多い病院は、その70%の中で最善の治療を選択していくノウハウを持っているものです。

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天野篤

天野篤

1955年、埼玉県蓮田市生まれ。日本大学医学部卒業後、亀田総合病院(千葉県鴨川市)や新東京病院(千葉県松戸市)などで数多くの手術症例を重ね、02年に現職に就任。これまでに執刀した手術は6500例を超え、98%以上の成功率を収めている。12年2月、東京大学と順天堂大の合同チームで天皇陛下の冠動脈バイパス手術を執刀した。近著に「天職」(プレジデント社)、「100年を生きる 心臓との付き合い方」(講談社ビーシー)、「若さは心臓から築く 新型コロナ時代の100年人生の迎え方」(講談社ビーシー)がある。