天皇の執刀医「心臓病はここまで治せる」

最初から高度な検査、治療は必要ない

 今回から、読者や患者さんから寄せられた質問に回答していきたいと思います。心臓病や治療について悩んでいる方は、参考にしてみてください。では、さっそく始めましょう。


 70歳を越えてから、時々胸に痛みが出るようになりました。どのタイミングで、どんな病院に行けばいいでしょうか?(71歳・女性)


 胸痛、息切れ、動悸といった自覚症状が出ると、「命に関わるような心臓病ではないか?」と不安に思う患者さんはたくさんいらっしゃいます。しかし、心臓病というのは、「これまで治療を受けたことがなく、自覚症状が出ているだけ」という段階なら、いきなり手術や高度な治療を行う必要はありません。経過観察や投薬などの初期治療で、ワンクッション置ける場合がほとんどです。

 週に3回以上、同じ症状が出るようならすぐに診察を受けるべきですが、2回以下なら時間がある時に受ける程度に考えておけばいいでしょう。月に1回程度なら、定期健診で心臓の異常を指摘されてからでも問題ありません。

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天野篤

天野篤

1955年、埼玉県蓮田市生まれ。日本大学医学部卒業後、亀田総合病院(千葉県鴨川市)や新東京病院(千葉県松戸市)などで数多くの手術症例を重ね、02年に現職に就任。これまでに執刀した手術は6500例を超え、98%以上の成功率を収めている。12年2月、東京大学と順天堂大の合同チームで天皇陛下の冠動脈バイパス手術を執刀した。近著に「天職」(プレジデント社)、「100年を生きる 心臓との付き合い方」(講談社ビーシー)、「若さは心臓から築く 新型コロナ時代の100年人生の迎え方」(講談社ビーシー)がある。