実際、これまでより肉体的にも精神的にも楽に手術ができるようになったと感じるので、禁酒と腸内環境改善の効果はそれなりに出ているといえるでしょう。これで、さらに質の高い手術を追求することができます。
私は、自分に課している高いレベルの手術ができなくなったとき、心臓外科医をきっぱり辞めるつもりでいます。しかし、今も手術の技術は進化していると自負していますし、現役である限り、まだまだ手術の数と質にこだわっていきたいと考えています。
40代の頃は、「心臓外科医がメスを持っていられるのは55歳ぐらいまでだろう」と、先輩外科医をみて思っていました。すでに55歳を越えてしまいましたが、それでも自分が思い描く通りの手術をすることができています。かつての自分の発言は間違っていた。気力と体力の衰えさえなければ、心臓外科医の“賞味期限”は年齢ではないと思えるようになりました。
天皇の執刀医「心臓病はここまで治せる」