仮に若い年代で慢性肺塞栓症の症状が出ると、心臓への負担も徐々に増していくため、内科治療だけでは長期にわたって“悪い状態”を引きずりながら生活しなければなりません。
血管の壁にへばりついている血栓が大きくなって完全に詰まってしまわないように注意し続け、不整脈の発生など心臓のケアも同時に行う二重負担になる可能性があるのです。再発するリスクもありますし、ずっと薬を飲み続けなければならないケースもあります。
しかし、手術で血栓を取り除き、肺と心臓の負担を減らしてあげると、患者さんは健康な人と同じような暮らしができるようになり、術後の生活の質は大幅に向上します。深部静脈血栓症を起こした足や下腹部から、再び肺まで血栓が流れるケースは多くありません。急性肺動脈塞栓症を起こしてから半年経過した後、再発防止を徹底したうえで手術をすれば、それほど不安を抱くこともなくなるのです。
天皇の執刀医「心臓病はここまで治せる」