心臓にある大動脈弁が開きにくくなって血液の流れが悪くなる大動脈弁狭窄症は、突然死の可能性がある深刻な疾患です。
悪くなった弁を完全に治すには大動脈弁を人工弁に取り換える弁置換が必要で、外科手術の他に、近年は「TAVI」(経カテーテル大動脈弁留置術)が登場しました。胸を切開せずにカテーテルを使って人工弁を留置するので、体への負担が少ない治療法です。
ただし、現時点では人工透析を受けている患者さんはTAVIの適応から除外されています。透析患者さんは高い確率で動脈硬化が進んでいるため、トラブルが起こる可能性が高いと判断されているのでしょう。
このところ増えてきている糖尿病性腎症による透析患者さんは、足の血管がガチガチに石灰化していることも多く、大動脈弁の石灰化も早いため、一生の間に何らかの治療が必要になるケースが多い。それなのに、TAVIの適応から外れているため、手術しか選択肢がない状況です。
天皇の執刀医「心臓病はここまで治せる」