退院後も、心臓に負荷をかけ過ぎない程度の有酸素運動を続けることが大切です。普段からできる簡単な“リハビリ”もあります。電車で外出するときは、目的地の出口がある改札と正反対の車両に乗るよう心がけることです。出口のある改札がいちばん前だったら、いちばん後ろの車両に乗る。逆に出口が最後方だったら、先頭の車両に乗るのです。
そうすると、車両の長さの分だけホームを歩くことになります。これだけでも、大きな効果が望めます。また、人混みの中を進むので、よけたり、立ち止まったり、周囲に注意しながら歩くことになります。そうした動きを織り交ぜつつ、回復の手応えを感じることもできるのです。屋根があるので雨に濡れることもありませんし、自分が知っている環境なので、安心感もあります。
この心がけは、心臓手術を受けた患者さんだけでなく、高血圧や不整脈といった循環器系疾患を指摘されている人(投薬などの治療によって症状が落ち着いている人)の再発予防策としても有効です。ぜひ日常生活に取り入れてみてください。
次回はリハビリに取り組む際の注意点についてお話しします。
天皇の執刀医「心臓病はここまで治せる」