天皇の執刀医「心臓病はここまで治せる」

6つの危険信号を見逃してはいけない

 普段とは違うなと思っているうちに意識を失って命を落とす場合もあるので、激しい胸の痛みを感じたら、迷わず救急車を呼んでください。強い痛みとともに吐き気やめまいを感じたり、冷や汗が出るケースもショック状態に陥りつつあるので危険な状態です。

 動悸や脈拍の異常は、不整脈の恐れがあります。心臓が“しゃっくり”する期外収縮から心室細動のように突然死を招く危険な不整脈になることもあるので、甘く見てはいけません。

 脈拍が不規則になったとき、急に激しい動悸を感じたり、突然の全身倦怠感が起こる場合には、心房細動などの病気が疑われます。放っておくと脳梗塞のリスクがあるので危険です。

 運動の直後に動悸を感じても、すぐに治まるようなら問題ありませんが、歩いたり階段を上っているときに激しい動悸と息苦しさを感じる場合は要注意です。心房細動のほかには心臓弁膜症の方に合併しやすく、その場合は心不全を起こしやすくなります。

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天野篤

天野篤

1955年、埼玉県蓮田市生まれ。日本大学医学部卒業後、亀田総合病院(千葉県鴨川市)や新東京病院(千葉県松戸市)などで数多くの手術症例を重ね、02年に現職に就任。これまでに執刀した手術は6500例を超え、98%以上の成功率を収めている。12年2月、東京大学と順天堂大の合同チームで天皇陛下の冠動脈バイパス手術を執刀した。近著に「天職」(プレジデント社)、「100年を生きる 心臓との付き合い方」(講談社ビーシー)、「若さは心臓から築く 新型コロナ時代の100年人生の迎え方」(講談社ビーシー)がある。