天皇の執刀医「心臓病はここまで治せる」

高血圧で肥満体型だと心臓は横向きに変形

 中でも、30代から兆候が出始める高血圧は、遺伝的素因が強く日本人に多い病気で、私たちが取り扱っている心臓手術のうち、70歳以上の患者さんの3分の2は高血圧です。心臓の大きさを変えてしまういちばんの要因となり、それによって心臓病の発症リスクをアップさせます。

 心臓の大きさは、よく「握りこぶし大」といわれますが、実際は握りこぶしを2つ合わせたぐらいの大きさです。身長が2メートル近い大柄な人でも心臓が大きいわけではなく、むしろ体格の割に小さいことが多い印象です。

 そもそも、心臓は「小さい」ことよりも、「大きい」ことの方が病的だといえます。心臓が小さい人は、その大きさでも全身に血液を送り込めているということですし、何かトラブルが起こっても対処のしようがいろいろあります。一方、心臓が肥大するのは、心機能が衰えるなどして、大きくなければ全身に血液を送り込めないという状況なのです。

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天野篤

天野篤

1955年、埼玉県蓮田市生まれ。日本大学医学部卒業後、亀田総合病院(千葉県鴨川市)や新東京病院(千葉県松戸市)などで数多くの手術症例を重ね、02年に現職に就任。これまでに執刀した手術は6500例を超え、98%以上の成功率を収めている。12年2月、東京大学と順天堂大の合同チームで天皇陛下の冠動脈バイパス手術を執刀した。近著に「100年を生きる 心臓との付き合い方」(講談社ビーシー)、「若さは心臓から築く 新型コロナ時代の100年人生の迎え方」(講談社ビーシー)がある。