中でも、30代から兆候が出始める高血圧は、遺伝的素因が強く日本人に多い病気で、私たちが取り扱っている心臓手術のうち、70歳以上の患者さんの3分の2は高血圧です。心臓の大きさを変えてしまういちばんの要因となり、それによって心臓病の発症リスクをアップさせます。
心臓の大きさは、よく「握りこぶし大」といわれますが、実際は握りこぶしを2つ合わせたぐらいの大きさです。身長が2メートル近い大柄な人でも心臓が大きいわけではなく、むしろ体格の割に小さいことが多い印象です。
そもそも、心臓は「小さい」ことよりも、「大きい」ことの方が病的だといえます。心臓が小さい人は、その大きさでも全身に血液を送り込めているということですし、何かトラブルが起こっても対処のしようがいろいろあります。一方、心臓が肥大するのは、心機能が衰えるなどして、大きくなければ全身に血液を送り込めないという状況なのです。
天皇の執刀医「心臓病はここまで治せる」