天皇の執刀医「心臓病はここまで治せる」

高血圧で肥満体型だと心臓は横向きに変形

 血圧が高い人は、心臓が血液を送り出す際に大きな力が必要になります。心臓はそれだけ強い抵抗を受け止めなければならないため、肥大していくのです。さらに、肥満体形だと腹部の内臓が上部にも出っ張ってきているので、心臓は横方向にしか大きくなることができません。そうなると、横向きに寝た状態に変形してしまいます。

 本来、血液は心臓から頭の方向に向かって送り出されていますが、心臓が横方向に大きくなって寝た状態になると、横方向にある心臓の出口の大動脈に向かいます。そこに高い血圧が常にかかっていると「解離性大動脈瘤」を起こす要因になるのです。血管の内壁に亀裂が入り、血管が破裂して大出血を起こす命に関わる病気で、近年、高血圧を放置しているような中高年に増えています。

 高血圧はこれといった自覚症状がなく、「サイレント・キラー」と呼ばれています。なんともないと思っていたのに、致命的な心臓病の原因になる動脈硬化を進行させるのです。男性の場合、収縮期血圧が10mmHg上昇すると、心筋梗塞や狭心症といった心臓病の発症や死亡リスクが約15%も増加します。

 心臓を守るため、血圧が高い人は生活習慣を見直して、血圧を下げる努力をしてください。その第一歩は、朝・夕の血圧測定です。

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天野篤

天野篤

1955年、埼玉県蓮田市生まれ。日本大学医学部卒業後、亀田総合病院(千葉県鴨川市)や新東京病院(千葉県松戸市)などで数多くの手術症例を重ね、02年に現職に就任。これまでに執刀した手術は6500例を超え、98%以上の成功率を収めている。12年2月、東京大学と順天堂大の合同チームで天皇陛下の冠動脈バイパス手術を執刀した。近著に「100年を生きる 心臓との付き合い方」(講談社ビーシー)、「若さは心臓から築く 新型コロナ時代の100年人生の迎え方」(講談社ビーシー)がある。