血圧が高い人は、心臓が血液を送り出す際に大きな力が必要になります。心臓はそれだけ強い抵抗を受け止めなければならないため、肥大していくのです。さらに、肥満体形だと腹部の内臓が上部にも出っ張ってきているので、心臓は横方向にしか大きくなることができません。そうなると、横向きに寝た状態に変形してしまいます。
本来、血液は心臓から頭の方向に向かって送り出されていますが、心臓が横方向に大きくなって寝た状態になると、横方向にある心臓の出口の大動脈に向かいます。そこに高い血圧が常にかかっていると「解離性大動脈瘤」を起こす要因になるのです。血管の内壁に亀裂が入り、血管が破裂して大出血を起こす命に関わる病気で、近年、高血圧を放置しているような中高年に増えています。
高血圧はこれといった自覚症状がなく、「サイレント・キラー」と呼ばれています。なんともないと思っていたのに、致命的な心臓病の原因になる動脈硬化を進行させるのです。男性の場合、収縮期血圧が10mmHg上昇すると、心筋梗塞や狭心症といった心臓病の発症や死亡リスクが約15%も増加します。
心臓を守るため、血圧が高い人は生活習慣を見直して、血圧を下げる努力をしてください。その第一歩は、朝・夕の血圧測定です。
天皇の執刀医「心臓病はここまで治せる」