今回は少しだけ私自身の話をしたいと思います。
これまで、心臓外科医として6500例を超える手術を行ってきました。いまも1日4件の手術をすることがあります。外科医にとって数多くの手術を経験することは重要で、手術の腕は手がけた数に比例するといっていいでしょう。
「これだけ手術数をこなせば、もう成長はない」という人もいますが、私はそうは思いません。まだまだ成長できると考えていますし、常に「理想的な完成度」をひたすら追い求めています。
そのための練習も欠かしません。外科医になった30年前から、爪を切る時は爪切りではなくハサミを使っています。左右どちらの手でも正確にハサミを使えるように、左手の爪は右手、右手の爪は左手で切ります。それも、指先のカーブに合わせてキレイに1回で切る。さらに、切りたいところを切り、止めたいところで止めるというトレーニングも続けています。
天皇の執刀医「心臓病はここまで治せる」