たとえば、手術を終えて退院後、2週間ほどしてから外来で医師の診察を受けた時、「最近、ちょっと血圧が高いんです」などと体調の変化を伝えることは非常に重要です。患者さんが普段から自己管理に努めていれば、そうした変化に気付くことができるのです。
もちろん医師のほうも、患者さんのそうした一言を聞き逃すことなく、「重大なキーワード」としてとらえられるかどうかが大切です。
「血圧が高くなった」と言われた時、「自宅に戻って生活環境が変わったからだろう」程度にとらえて様子を見ている間に、脳出血を起こしてしまうケースもあるのです。患者さんの一言を重大なキーワードと察知して血圧を下げる薬を処方しておけば、防げたかもしれません。これは、医師の実力といえるでしょう。
また、手術前よりも状態が悪化した患者さんがいた場合、医師の良しあしが表れます。悪化していることが分かった段階で、「手術した結果、予想とは違ってこういう状態になってしまったから、新たな対処をしなければなりません」と正直に情報を公開する医師もいれば、「手術はうまくいきましたが、あなたの場合は動脈硬化がひど過ぎるから、結果として悪くなってしまった。これ以上は何もできません」といった対応をするとんでもない医師もいます。
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