これまで紹介してきたように、糖尿病や腎臓病、がんといった合併症を抱える患者さんの心臓手術は、注意しなければならないポイントがいくつもあります。
心臓外科医がそれをしっかり理解したうえで対処するか、面倒くさいと思って対処するかで、手術の結果が大きく変わってきます。その点、日本の外科医は努力を重ねていて、非常に優秀です。欧米などの外科医と比べるとアプローチが緻密だといえます。
欧米では、ある一定の平均的な外科医が対応できる範囲に当てはまる患者さんが普通であって、そこから外れる場合は患者側が悪いとみなします。これは、日本と欧米の保険制度の違いによるところも大きいでしょう。
日本の保険制度はすべての人に平等な治療を提供するという理念を原則にしています。一方、欧米では、患者が入っているタイプの保険でカバーしきれないケースは、やはり患者が悪いと判断され、治療を受けられません。
天皇の執刀医「心臓病はここまで治せる」