がんを抱えている心臓病患者が、がんの手術ができなくても心臓を手術するケースが増えていることについて、もう少し詳しくお話ししましょう。
近年、抗がん剤などの化学療法の進歩によって、たとえがんの手術が受けられなくても、何年も生きられるようになりました。たとえば肺がんの場合、かつては手術を受けなければ余命は半年ほどでしたが、いまは抗がん剤治療で3年以上も生きられる患者さんがたくさんいるのです。
それに伴い、抗がん剤治療を受けるために、まず心臓の手術を受けるという心臓病患者が増えています。抗がん剤は心臓に大きな負担がかかるからです。
たとえば、現在の抗がん剤治療で重要な役割を果たしているプラチナ製剤は、腎臓への副作用を防ぐために大量の輸液が必要です。それが心臓に普段の生活を超える負担をかけます。
また、タキサン製剤やビンカアルカロイド製剤など、心筋に対して毒性がある抗がん剤もあります。
天皇の執刀医「心臓病はここまで治せる」