腎臓に合併症を抱えている場合、最悪なのは、心臓手術をきっかけに、そのまま透析治療が必要になるほど悪化してしまうケースです。手術中の環境というのは、血圧が大きく変化したり、術中に使用する薬などによって、腎臓は大きなダメージを受けます。特に抗生物質は腎臓に負担がかかりますし、利尿剤もダメージを与えてしまうのです。
腎臓に合併症がある患者さんには、負担がかかるような薬などはなるべく使用しないようにしますが、それでもどうしても使わなければならないケースがあります。その場合、術中に特殊な透析装置を使った「CHDF」と呼ばれる持続血液透析濾過を行い、腎臓にダメージを及ぼす物質を除去して保護しながら、手術がソフトランディングできるようにします。
透析装置は、手術で麻酔が効いた時点から使うこともありますし、術後から使い始める場合もあります。
天皇の執刀医「心臓病はここまで治せる」