天皇の執刀医「心臓病はここまで治せる」

複数の「弁」を同時に手術するとこもできる

 心筋梗塞や狭心症などの「虚血性心疾患」と同じくらい患者さんが多い心臓病が「弁膜症」です。

 心臓の中で、血液が効率よく一方通行で流れるように調整している「弁」がうまく働かなくなる病気です。心臓には、僧帽弁、大動脈弁、三尖弁、肺動脈弁の4つの弁があります。そのすべての弁において、きちんと弁が閉じなくなって血液の逆流や漏れが生じる「閉鎖不全症」と、弁が開かずに血液の流れが悪くなる「狭窄症」が起こります。

 近年は、食生活の欧米化や高齢化社会が進んだ影響で、動脈硬化によって起こる大動脈弁狭窄症、僧帽弁閉鎖不全症の患者さんが増えてきています。中でも、大動脈弁狭窄症は、突然死する可能性もあるので注意が必要です。

 弁膜症の治療は、症状の程度や、どこの弁に異常が起こったかによって変わってきますが、薬物療法だけでは症状が改善しなかったり、カテーテル治療の対象になっている僧帽弁狭窄症(心臓内に血栓がないか、逆流があってもごく軽度)以外の患者さんの場合、手術を考えます。いまは2つ、あるいは3つの弁を同時に手術したり、冠動脈バイパス手術と一緒に手術を行うケースもあります。

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天野篤

1955年、埼玉県蓮田市生まれ。日本大学医学部卒業後、亀田総合病院(千葉県鴨川市)や新東京病院(千葉県松戸市)などで数多くの手術症例を重ね、02年に現職に就任。これまでに執刀した手術は6500例を超え、98%以上の成功率を収めている。12年2月、東京大学と順天堂大の合同チームで天皇陛下の冠動脈バイパス手術を執刀した。