前回の「虚血性心疾患」に続き、今回はこのところ増えてきている「大動脈疾患」を取り上げます。
大動脈は体の中で最も太い血管(直径2~3センチ)で、心臓から全身に血液を送り出す重要な役割を担っています。動脈硬化や外傷によって、その大動脈の一部が膨らんで“こぶ”のようになってくる病気が大動脈瘤です。食生活の欧米化や高齢化社会の進展により、近年は患者さんが増えています。
こぶがそれほど大きくなければ問題ありませんが、急激に膨らんで破裂すれば、命取りになる可能性が高いのです。破裂した場合、助かる確率が2割程度しかありません。
こぶの形とでき方によって、「真性」「仮性」「解離性」の3つのタイプがあり、中でも危険なものが「解離性大動脈瘤」(大動脈解離)です。何の前触れもなく、いきなり血管が裂けて解離し、1度目の発症で突然死するケースも少なくありません。去年の12月には、歌手の大滝詠一さんがこの病気で亡くなっています。
天皇の執刀医「心臓病はここまで治せる」