天皇の執刀医「心臓病はここまで治せる」

深夜の緊急手術で解離性大動脈瘤に対応

 急性期にはこぶができないこともあり、突然、血管が裂けて激痛が走ったあと全身に痛みが移行するケースが多いので、心臓に近い部分では緊急手術になる場合がほとんどです。先日も、深夜に解離性大動脈瘤の患者さんが運び込まれ、緊急手術を行いました。

 その日は、久しぶりに自宅で家族そろって食事をしてから眠っていたのですが、深夜1時30分過ぎに携帯電話が鳴り、「40歳の男性が解離性大動脈瘤で救急搬送された」と連絡がありました。すぐに緊急手術の準備を指示して病院に駆けつけ、手術に臨みました。

 患者さんは、首のあたりで3本の血管が分枝している「弓部」の動脈の内膜がズバーッと裂けて解離している状態で、裂けた血管をすべて外して人工血管に取り換える「人工血管置換術」を行いました。

 今回の患者さんのように裂けた部分が心臓から遠いところだった場合、民間病院では、まず破裂したら命取りになる心臓に近い部分の動脈を取り換えるだけにしておき、解離している部分はそのまま残して後から再手術を行うケースが一般的です。

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天野篤

天野篤

1955年、埼玉県蓮田市生まれ。日本大学医学部卒業後、亀田総合病院(千葉県鴨川市)や新東京病院(千葉県松戸市)などで数多くの手術症例を重ね、02年に現職に就任。これまでに執刀した手術は6500例を超え、98%以上の成功率を収めている。12年2月、東京大学と順天堂大の合同チームで天皇陛下の冠動脈バイパス手術を執刀した。近著に「100年を生きる 心臓との付き合い方」(講談社ビーシー)、「若さは心臓から築く 新型コロナ時代の100年人生の迎え方」(講談社ビーシー)がある。