経験が少ない心臓外科医では、これに対応できません。そのため、1回目の手術の“遺恨”にはできるだけ触らないようにして、いま問題になっているところだけを処置して終わらせるという選択をします。そうなると“トラブルの種”が残ってしまうので、将来、再びそこが問題を起こす可能性が高くなります。もっとひどいのは、やらなくてもいい手術を実施したうえ、そこで感染などのトラブルを起こして違う病気をつくってしまう場合です。そんなどうしようもない医師もいるのです。
そうしたレベルの低い心臓外科医がいる病院でも、症例数が多いとランキング本などで評価が高かったりします。患者さんが、術前にそれを見極めるのは簡単ではありませんが、目安はいくつかあります。
まず、その病院の施設長が、自分で年間250例以上の手術を執刀しているかどうかが重要です。自分で執刀した症例数が少なければ、若い医師の指導をしたり、難しい症例で水準以上の対応をとるのは難しいでしょう。日本でこの症例数をクリアしている心臓外科医は15人程度しかいませんが、そのような病院ではトータルの症例数が年間400例、1日1例以上ぐらいあります。
天皇の執刀医「心臓病はここまで治せる」