徹底解説 乳がんのなぜ?

定期検診を受けていた北斗晶 いきなり発覚したのはなぜか

乳がんであることを告白した北斗晶
乳がんであることを告白した北斗晶(C)日刊ゲンダイ

 去る23日、元女子プロレスラーでタレントの北斗晶(48)が乳がんを公表し、24日には右乳房の全摘出手術を受けた。

 いつもテレビで元気な姿を披露していた北斗だけに、驚いた人も多いだろう。健康な自分の妻も、いつ同じ病気に見舞われてもおかしくない。男性も乳がんの知識を身につけておきたい。

 北斗は、今年初めに「うつぶせで胸を圧迫したことで、右胸にチクッとする痛みを感じ」、春には「乳頭がセンターにないように見え、引きつってるような感じ」を受けたという。さらに、初夏に「右胸にチリチリする痛み」を感じたため、検査を受けたところ乳がんが発覚。がんは右胸の乳頭の真裏近くに見つかり、すでに直径約2センチの大きさだった。

 北斗は、毎年、乳がん検診を受け、マンモグラフィー(乳房X線検査)や乳腺エコー検査を行っていたという。それなのに、これほど大きくなるまでがんが見つからなかったのはなぜなのか。板橋中央総合病院乳腺外科の上野貴史医師は言う。「考えられるのは、まず『見逃し』です。乳がん検診で行われる検査は非常にファジーなもので、もう一度診てみたらがんだったとか、誰が見ても分からないがんがあったといった見逃してしまうケースがあるのです。乳房は脂肪組織と乳腺組織からできていて、乳がんは乳腺から発生します。マンモグラフィーなどの画像診断では、白く映る乳腺の中から、白く映るがんを見つけなければなりません。これは、白い雪の中にいる白いウサギを見つけるようなもので、誰が見ても100%間違いなくがんが見つかることはほとんどないといえます」

 加齢とともに乳腺は脂肪に置き換わる。脂肪は黒っぽく映るため、そうなってくればがんも発見しやすくなるという。しかし、40代より若い人はまだ脂肪が少なく、乳腺が厚い。どうしても見逃しが増えるという。

 もうひとつ考えられるのは「インターバルキャンサー」。「中間期がん」とも呼ばれ、定期的に検診を受けている人でも、前の検診と次の検診の間に症状が表れ、がんが発覚するケースがあるという。

「定期的に検診を受けている人は、2年に1回か1年に1回のペースが多いでしょう。しかし、分裂が速いがんの場合、1年以内に2センチ近く成長するケースもあります」(上野医師)

 定期的に乳がん検診を受けていても、万全ではないのだ。