患者さんの負担を軽減するには、とにかく素早く手術を終わらせることが基本になるのです。
私が手術を手掛け始めた25年前に比べると、技術の進歩などによって手術時間を大幅に短縮できるようになっています。
先月、08年に冠動脈バイパス手術を受けた50代後半の女性の再手術を行いました。1度目の手術が行われたのは6年前で、長持ちするとされている左内胸動脈と足の静脈がバイパスの血管として使われていました。
しかし、内胸動脈は早い段階で詰まっていて、足の静脈も複数の場所が詰まった状態でした。1度目の手術後に心筋梗塞を起こし、他の血管もかなり傷んでいました。
しかも、1度目の手術でバイパスとして使用するのに最適な血管は使われてしまっています。
もし25年前なら、2度目のバイパス手術に使う血管を探すのに苦労し、手術時間も長くなってしまったでしょう。
天皇の執刀医「心臓病はここまで治せる」