徹底解説 乳がんのなぜ?

マンモグラフィーは信頼できるのか

乳がんであることを告白した北斗晶(C)日刊ゲンダイ

 米国では、米国予防医学専門委員会が「40代の定期的なマンモグラフィー検診は推奨しない」方針を打ち出している。今年に入ってから、「マンモグラフィーを受けた人の割合が高い地域では多くの乳がんが見つかったが、乳がんによる死亡率とは相関関係が見られなかった」という研究報告もあった。

 マンモグラフィーが浸透してきた日本でも、いまのところ乳がんの死亡率は下がっていないのが現状だ。板橋中央総合病院乳腺外科の上野貴史医師は言う。

「乳房は脂肪組織と乳腺組織からできていて、人によって組織密度が異なります。乳腺密度が高い人はがんが見つけづらく、がんを見逃してしまう可能性が大きくなる。そのため、米国の過半数の州では、がんが見つかりにくいタイプの乳房組織を持つ人には、乳腺密度についての情報を伝え、マンモグラフィー以外の検査も推奨するよう法律で義務付けています。マンモグラフィーだけでは万全ではないのです」

 近年は、マンモグラフィーによって一生放置しても問題ないような早期がんを発見し、過剰診断や不要な治療が実施されるケースも増えてきているという。

 マンモグラフィーを過信してはいけない。

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