耳鼻科の病気

入院治療が必要な突発性難聴

 なお、突発性難聴は「約3分の1は完治し、3分の1は回復するが難聴を残し、3分の1は治らずに終わる」(公益財団法人「難病医学研究財団」難病情報センターから)とされ、治療が早ければ早いほど回復の具合がよいといわれています。

 治療がうまくいかない要因は、①発症後2週間以上経過して治療を始めた、②発症時の平均聴力が90デシベル以上の高度難聴、③回転性めまいを伴う、④高齢者――などが挙げられます。

 突発性難聴は繰り返しません。聴力が固定化したあと、難聴が悪化したり、めまいがひどくなったりした場合は、突発性難聴ではなく他の疾患を考えます。聴神経腫瘍、外リンパ瘻やメニエール病です。これらは精密検査と画像検査により診断していきます。

 鳥類と違って、哺乳類の耳の細胞には増殖因子はありません。一度死んでしまった細胞は生き返りません。耳が聞こえなくなったら、すぐに耳鼻咽喉科を受診して下さい。

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大場俊彦

大場俊彦

慶應義塾大学大学院博士課程外科系終了。医学博士甲種日本耳鼻咽喉科学会認定専門医。日本レーザー医学会認定専門医。日本気管食道科学会認定専門医。米国耳鼻咽喉科・頭頸部外科学会フェロー。国際レーザー専門医。厚生労働省補聴器適合判定医・音声言語機能等判定医。日本耳鼻咽喉科学会騒音性難聴判定医・補聴器相談医。