徹底解説 乳がんのなぜ?

北斗晶も苦悩した「全摘出と部分切除」の境目

乳がんを告白した北斗晶(C)日刊ゲンダイ

 全摘なら取り残しのリスクが減り、少なくとも同じ場所に再発するリスクはほぼなくなる。手術後に再発防止のための放射線治療を受ける必要もない。

「そもそも温存療法は、①部分切除で完全にがんが取り切れ、再発率を高めない②見栄えが良好な乳房を残せる③放射線治療が行えることが適応条件。かつてはがんの大きさが3センチ以下を適応としていましたが、今は上記の条件をクリアできれば、部分切除を行うことが可能です。しかも、全摘と予後が変わらないというデータが出たことから、世界的に温存療法が人気になってきました。最近では温存療法の適応があっても、全摘するケースが増えています」(武田センター長)

 実際、米国では温存療法は減少傾向にあり、日本でも頭打ちになっている。その理由は乳房再建技術の進歩と保険適応にある。乳房の縦、横、高さを正確に測定し、自分に合った自然な形の人工乳房で、再建することができる。左右の乳房のバランスが崩れてくれば再度、再建手術を受けることも可能だ。

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