最近は、厳しく糖質を制限する、はやりの食事制限ダイエットを始めたという患者さんも増えています。肥満は心臓にとって大きなリスクになりますから、食生活を気にするのは悪いことではありません。ただ、極端に食事を制限するダイエットまで行う必要があるかどうかといえば疑問です。人間は、おいしい食事を食べることによって精神的な満足感を得るものです。高齢になると、「食べることが唯一にして最大の楽しみ」という人もいます。厳しい食事制限を行って、そうした“楽しみ”を失うことは、精神的に大きなストレスを受けることになります。
ストレスも心臓病にとっては大敵です。人間はストレスを受けると交感神経が優位になり、心拍数が増加したり、血圧が上昇します。こうした交感神経の興奮が起こると、通常は副交感神経が働いて制御していますが、強いストレスがかかって自律神経のバランスが崩れてしまうと興奮状態が続き、心臓にかかる負担が大きくなるのです。
天皇の執刀医「心臓病はここまで治せる」