Dr.中川のみんなで越えるがんの壁

【川島なお美さんのケース】抗がん剤治療を拒否した選択は間違っていない

川島なお美さん(C)日刊ゲンダイ

 その後は、「抗がん剤の副作用でステージに立てなくなる可能性があるなら、私は最期まで女優として舞台に立ちたい」と抗がん剤治療を拒否。食事療法などを続けてきたようです。
 胆管は、肝臓から膵臓を経由して十二指腸に消化液などを運ぶ管。直径6~8ミリと細く、肝臓や十二指腸の陰になり、エコー検査で見つけにくい。早期に発見しにくいのはそのためで、たとえ早期でも近くに重要な臓器や血管があるため、手術が難しい難治がんのひとつです。転移もしやすく、放射線も難しいし、著効する抗がん剤もほとんどありません。
 手術ができない進行がんのケースだと、もって半年から1年。今年1月に同じ胆管がんで命を奪われた金メダリスト・斉藤仁さん(享年54)は、手術ができなかったようで、昨年11月に元気な姿を見せた全日本体重別選手権から2カ月後の訃報でした。
 そのようなことを踏まえると、抗がん剤治療を拒否した川島さんの選択は正解かもしれません。それでも、抗がん剤治療を手掛ける腫瘍内科医の多くは、手術ができない患者さんに抗がん剤治療を勧めます。川島さんのブログによれば、「仕事を休みたくないから抗がん剤は嫌」という川島さんに、「ならば休みやすいように、悪性の診断書を書きましょう」と言い放ったとか。しかも、がんと確定する病理検査もせずにです。

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中川恵一

1960年生まれ。東大医学部医学科卒業。同院緩和ケア診療部長を兼務。すべてのがんの診断と治療に精通するエキスパート。がん対策推進協議会委員も務めるほか、子供向けのがん教育にも力を入れる。「がんのひみつ」「切らずに治すがん治療」など著書多数。