真似したい伝承療法

福島のニシンの山椒漬け

「会津を代表する伝承料理のひとつで、頭にも体にもいいのが、“ニシンの山椒漬け”です」と話すのは、福島県会津若松市の会社員、長堀和明さん(52)。

「昔はどこの家にもニシンを漬けるための“ニシン鉢”があり、家庭でも人気メニューでした」

 作り方は簡単。タッパーなどに身欠きニシンと山椒の葉を交互に重ね、醤油やみりん、酢、酒などを合わせた調味料を入れ、冷蔵庫で1週間ほど漬ければ出来上がり。

 食べてみると、山椒の風味がよく、ニシンのウマ味も申し分なし。酒の肴にもおかずにもなる。

 栄養価も侮れず、ニシンにはEPA(エイコサペンタエン酸)やDHA(ドコサヘキサエン酸)といった必須脂肪酸が豊富に含まれている。

 DHAは脳の神経細胞に分布し、特に記憶や学習をつかさどる海馬に多く集まっている。そのため、脳の働きと深く関係している成分だといわれている。

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宮岸洋明

宮岸洋明

1965年、石川県生まれ。出版社勤務後、95年、健康ライターとして独立。以来20年、健康雑誌などで取材・執筆活動を開始。本連載では、世界的な長寿国である日本の伝承料理がテーマ。「健康長寿の秘訣は“食”にあり」をキーワードに、古くから伝えられてきた料理や食材を実食し、その栄養価、食味や調理法を紹介。筆者自身も、約1年前から数々の伝承料理を食べ約20キロのダイエットに成功。メタボを脱出し、健康診断もオールA。