岩手県北部に位置する、九戸村。自然に恵まれた美しい村で、“甘茶の里”としても知られている。
甘茶は、アマチャズル(ウリ科)と混同されやすいが、ユキノシタ科の低木樹のことで、江戸時代からお茶の民間薬として飲まれていたという。
ひと口飲むと、その名の通り、適度な甘さがあり、おいしい。ただ、カロリーの心配はないのだろうか。甘茶生産に携わる、岩下明氏はこう言う。
「甘さは、なんと砂糖の200倍です。でも、カロリーはほとんどありません。糖尿病などで糖分を制限されている人でも安心して飲むことができます。刺激物のカフェインやタンニンもなく、体にとても優しいお茶です」
甘茶の長所は超低カロリーだけではない。
「抗アレルギー作用、整腸作用、歯周病抑制作用、生活習慣病の元凶となる活性酸素を抑える抗酸化作用などがあると報告されています」(岩下氏)
こうした効果が確認されたことで、甘茶の生産量の大部分は生薬材料として、製薬会社に出荷されているという。
もちろん、一般にも流通しており、甘茶を飲み、肌のかゆみがとれたり、血糖値のコントロールに役立ったりしたという人は少なくない。
九戸村の甘茶は農薬や化学肥料を使わずに栽培されている。また、放射能検査も国の基準値よりも厳しく設定した数値をクリアしている。
毎日のお茶を甘茶にするだけで、健康状態は変わってきそうだ。
(健康ライター・宮岸洋明)
真似したい伝承療法