讃岐といえば、うどんが有名だが、地元の人々にとっては、「しょうゆ豆」も親しみ深い一品だ。
しょうゆ豆とは、焙烙と呼ばれる素焼きの瓦の上で、干したソラマメをこんがりと炒った後、醤油や砂糖、唐辛子などを合わせたタレに漬け込んだ伝承料理のこと。
「子供の頃から、母親に“栄養のかたまりだから”と、おやつ代わりに食べさせられました。しょうゆ豆のおかげか、家族全員、ほとんど病気をしていませんでしたね」と言うのは、香川出身の元山修一さん(42・会社員)。
実際、しょうゆ豆の主原料のソラマメには、さまざまな栄養成分が含まれている。
特筆すべきは食物繊維で、これは善玉菌の増殖を活性化し、腸内の不要なものを排出する。腸内環境が改善し、便秘解消にも役立つ。
カリウムも多く含み、余分なナトリウムを排出し、血圧の上昇やむくみを抑える。ビタミンB群は糖質や脂質の代謝を助けて、肥満を予防し、疲労回復効果も高めてくれる。
肥満防止の点では、タレの原料の唐辛子に含まれるカプサイシンも貢献度大。カプサイシンは代謝を高めて脂肪燃焼を促進し、ぜい肉がつくのを抑えてくれるのだ。
味は醤油の香ばしさが食欲をそそり、1つ食べたら手が止まらない。その上、肥満を抑制するなど、健康にもよいのだから、香川を「うどん県」ではなく、これからは「しょうゆ豆県」と呼びたいくらいだ。
(健康ライター・宮岸洋明)
真似したい伝承療法