認知症には、アルツハイマー病型、レビー小体型、脳血管性などいろいろあるが、特発性正常圧水頭症の決定的な違いは、「手術で治る」こと。ほかの認知症は、症状の進行を遅らせられても、ストップはできないし、“元通り”にはならない。
「だからこそ、適切な診断が重要。しかし、それが行われておらず、別の認知症やパーキンソン病、うつ病などと誤診され、違う治療を受け続けている患者が非常に多いのです」と言うのは、特発性正常圧水頭症治療の第一人者、東京共済病院・桑名信匡院長だ。
この病気の特徴は、歩行障害だ。
「さっさと歩けなくなり、小刻みでちょこちょこ歩きしかできなくなる。高齢者で転倒を繰り返す人の多くは、特発性正常圧水頭症が原因かもしれないとも考えています。これはかなりの確率で当たっているでしょう」
物忘れ、排尿が間に合わないなどの症状も表れる。アルツハイマー病でも排尿が間に合わないことはあるがかなり進行しないとならない。一方、特発性正常圧水頭症では早期や軽症でも見られる。