徹底解説 乳がんのなぜ?

乳房再建手術 全適時に行うか後で行うか

北斗晶と佐々木健介夫妻(C)日刊ゲンダイ

「片方を自家組織、もう片方を人工物使用で乳房再建した患者さんが、“人工物の方が本当に楽”とおっしゃる。自家組織は入院期間も長く、体の負担も大きいのです」

 乳房を全摘すると、皮膚には収縮する働きがあるので、膨らみがなくなってしまう。そこで「エキスパンダー」という組織拡張器を乳房の膨らんでいたところに入れ、皮膚を伸ばす。生理食塩水を注射針で1~2カ月に1回注入し、8カ月の目安で適度な大きさまで膨らませる。その後、シリコーンを入れ、患者の希望に応じて、乳輪、乳頭を再建するのが、乳房再建手術の一連の流れだ。

 このエキスパンダーを入れるタイミングには、①「全摘時、同時に」②「全摘後しばらく経ってから」の2通りある。②の場合、皮膚を一から伸ばすこと、すでに筋肉も萎縮していることから痛みを伴うこともある。

「①も②も“どっちがいい”というものではありませんが、①の方がスムーズに治療が進む。エキスパンダーを入れても当分の間、シリコーンを入れ替える乳房再建手術を受けないという選択肢もあります」

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