独白 愉快な“病人”たち

元サッカー選手 杉山新さん(34) 1型糖尿病

杉山新さん(C)六川則夫/ラ・ストラーダ

「病気でもプレーできることを証明し、もう一度プロとして認めてもらう!」

 1型糖尿病は、毎食前と寝る前の1日4回、血糖値を調べてインスリンの量を調整し、自分で注射をします。激しいトレーニングをすると、糖分は多く消費されます。練習前に薬で平常値まで下げていると、今度は低血糖になってしまう。

 血糖値は下がり過ぎると頭が痛くなったり、舌がしびれたりする。そんな時は、スポーツドリンクを飲んで血糖値を上げるのですが、僕の体は血糖値を上げようとする力が強く、すぐに高血糖になる。練習の負荷を見極め、適量を注射できるまで試行錯誤が続きました。

 3カ月が経ち、糖尿病との付き合い方が分かってきました。松永英機監督(当時)が「糖尿病でもプレーできるはず」とクラブの海野一幸社長を説得してくれ、04年シーズン開幕前に僕はプロとして再契約できました。この2人が糖尿病に理解を示し、後押ししてくれたことに感謝すると同時に、彼らの期待が「糖尿病でも成果を挙げてみせる」という思いの原動力になりました。

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