独白 愉快な“病人”たち

タレント 新田恵利さん(47) 脳動脈瘤

新田恵利さん
新田恵利さん(C)日刊ゲンダイ

 昨年4月に放送した健康番組に出演して、番組の最後に「脳動脈瘤」と発表されたんです。番組中、医師に「自分は大丈夫って思ってるでしょ?」って声をかけられてもピンとこなかった。

 いやー、最後にガツンと言われちゃいました。

 動脈硬化で注意されるような生活は心当たりがなかったんです。もともと和食が好きで、お仕事で外に出ない限り肉類はほとんど食べない。29歳で結婚、30歳で湘南に移り住んでからは、健康的な生活に変わり、夜11時を過ぎると眠くて寝てしまうような規則正しい生活で。市区町村の健康診断を受けると、高脂血症とか血圧の問題はナシ。逆に値が下回りすぎて先生に「もっといいもの食べなさい」って言われるくらいでしたから。

 この年になって、健康番組のお仕事をいただくようになり、以前、若さの目安のホルモンを計測する番組に呼んでいただいた時は、ホルモンが活性化しているという結果で、実年齢より5歳以上若かった。単に、よく寝ているからだけなんですけどね。ですから、今回の精密検査も何とも思っていなかったんです。「脳動脈瘤」という医師の言葉は青天のへきれきでした。

 心当たりがあるとしたら片頭痛と肩こりくらい。片頭痛持ちは脳動脈瘤になりやすいのだそうです。我が家は母も片頭痛持ち。疲れた時や生理の時には片頭痛と肩こりが出ます。

 おニャン子時代、泊まりの仕事でスタッフと花札をして、勝ったごほうびに「マッサージを呼んで欲しい」ってリクエストしたくらい、肩こりは若い頃から切実な悩みでした。

 今回の結果に驚いたのは、私よりも主人。義母に連絡をし、慈恵医大に行くように手配してくれました。診断の結果、私の動脈瘤は3~4ミリで、まだ処置する必要はないそうで、「様子を見ましょう」とあっさり終了。脳動脈瘤といえば高脂血症やドロドロ血が原因なんですが、血液自体はサラサラなので、お薬も飲んでいません。他の患者さんに比べたら、本当に軽いものです。

 主人は「毎月CT撮ったら?」なんて言うんですけどね。私は、そんなに放射線浴びてどうするのって思っちゃう。死ぬ時は死ぬんだから、って思う“男前”なタイプなんです。

 中にはいつ倒れるか不安で、ひとりで家にいることができなくなる主婦の方もいるそうです。そういう場合は「不安を取り除くため」に手術することもあるそうです。

 これは昨年末に「ノンストップ!」という番組でもお話ししました。多少の注意喚起と番組の意図もくんで、「最悪……死もありますね」なんて言ったものだから、ご近所の奥さまたちが心配してくださって、逆に申し訳ないくらいでした。

 脳動脈瘤がわかって最初にしたのは旅行の予約。診察して飛行機に乗るのを制限される前に旅行に行こうと思って。今年は主人とアリゾナの秘境、アンテロープのザ・ウエーブに行きました。1日20人しか入場できない「世界で最も美しい場所」なんですよ。女友達とはヨーロッパにも行きました。

 死ぬ前にあそこもここも見に行かなきゃという気持ちが優先で、病気が見つかったおかげでますます旅行の回数が増えました。

 最近、我が家では母の介護が始まりましてね。母と兄、私たち夫婦の2世帯同居で、昼間は私、夜は兄が面倒を見ているんです。それがこの前、兄が不在の時、寝る前のおむつ交換を忘れて寝てしまって。翌日、母に「あんたもトシね!」って言われました。

 病気も介護も、そのくらいおおらかにとらえるのもいいんじゃないかなって思っています。

▽にった・えり 1968年、埼玉県生まれ。17歳でおニャン子クラブの一員としてデビュー。現在はタレント、歌手として活動。「ありがとッ!」(テレビ神奈川)にレギュラー出演。おニャン子クラブ結成30周年を記念した「シングルレコード復刻ニャンニャン」(ポニーキャニオン)が発売中。