独白 愉快な“病人”たち

元プロボクサー 竹原慎二さん(43) 膀胱がん

竹原慎二さん(C)日刊ゲンダイ

 治療は、2カ月間の抗がん剤治療でがんを小さくしてから手術をする方針。治療開始から3週目に髪がごっそり抜け落ちました。

 手術は、リンパ節と膀胱の全摘出と、小腸を60センチ切って代替の膀胱を作るというもの。別の臓器が膀胱になるなんて、人間の体ってすごいもんです。パウチ袋を外付けする人工膀胱は免れたものの、術後の痛さがハンパじゃなかった。全く歩けない。ボクシングのダメージなんて比じゃありません。リンパ節を取ったせいで、いまだに内腿にしびれも残っていますしね。

 代替の膀胱とはいっても、尿意はないんです。負荷をかけると壊れるので、食べすぎはダメだし、2時間刻みの排尿は必須。夜中も携帯の目覚ましで2時間おきに起きてトイレに行きます。毎日ゆっくり眠れないのが一番つらい。

 でも、こうしてがんと向き合って、人生観が変わったね。今までは「とにかくカネを稼いでやろう」と思ってきたし、それが実現できるのがボクサーだと思っていた。ところが入院して、女房やたくさんの人に支えられ、治療費が1000万円もかかってみて、健康が一番だと実感しました。

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