独白 愉快な“病人”たち

評論家 樋口恵子さん(82) 胸腹部大動脈瘤感染症

樋口恵子さん(C)日刊ゲンダイ

 即手術となり、対応可能な病院に救急車で転院。動脈瘤を3カ所切除し、人工血管に入れ替える手術をしました。心臓を一度取り出して手術するものだから、胸の中心からあばらに向けて直角、そのまま背中まで輪切りにメスを入れ、肋骨も切りました。といっても、手術自体は麻酔が効いているから、手術に4時間半かかったといってもどうということもない。

 問題は麻酔が切れてから。呼吸器などを通すために喉に入れられた大きな管を抜く「抜管」は死ぬかと思った。切り開いた傷の長さは手術中でも一番長いそうで、術後1週間は死ぬか生きるかの痛みでした。

 そこへ、鬼のリハビリです。ICUにいたのは8時間。すぐ自分の部屋に戻され、いきなり介護士が体重を量るから起きろと言う。その時はこんなに痛いのに鬼だと思いましたよ。私の入院した病院は中年男性患者が多く、社会復帰に重きを置いていたこともあり、リハビリがかなりハード。翌日からは、青竹でひっぱたかれんばかりにたたき起こされ、ナースステーション1周の歩きを1日3回。10日後にはリハビリルームでの自転車こぎも加わった。

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