愉快な“病人”たち

演歌歌手 原田悠里さん(60) 食いしばり由来の難聴

原田悠里さん(C)日刊ゲンダイ

「ちゃんと音程取れてる?」

 レコーディングの最中、周囲に確認するようになったのは、2001年の秋のことです。

 左奥歯の激しい痛みに悩まされ、次第に左耳からきれいな鈴の音がする。

「あれ、こんな鈴の音、私の曲に入っていたかしら?」

 そう思いながらレコーディングを続けてたのですが、そのうち寝ていても鈴の音がするようになり、これはおかしいと気が付いた。

 当時、3年連続でNHK紅白に出場でき、飛躍的に仕事が増え、全国を飛び回る日々。ストレスと過労でポリープができたり、歯茎が腫れたり、50歳を手前にストレスと過労であちこち……。その場しのぎで手当てしてもらって、また地方に飛ぶような生活でした。

 左耳はますます悪化し、突発性難聴で耳栓をしたかのように自分の声がこもって聞こえてくる。処方された薬を飲むとめまいを起こし、服用し続けることができない。プロとして、ちゃんと音を取れているのか、精神的にも不安になる。この業界ではストレスからくる突発性難聴は身近な話です。自分も全く聞こえなくなってステージに立てなくなるんじゃないか、と半年ぐらい不安を抱えて過ごしていました。

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