独白 愉快な“病人”たち

女優 岡崎友紀さん(61) ギックリ首

岡崎友紀さん
岡崎友紀さん(C)日刊ゲンダイ

「私、終わっちゃうのかしら……」と死を覚悟するくらい驚きました。

 あれは6年前の冬。首の左側が凝っていたのでお風呂でよく揉んだら、翌日、揉み返しがきて。首が痛いどころか、ひどい頭痛がして、耐えられない状態になりました。時間を追うごとに痛みは増し、頭全部の神経が肥大したようなイメージとでもいいましょうか、首をちょっとかしげただけでも痛くてベッドで横になることもできない。

 近所の病院でレントゲン撮影をしてもどこが悪いのかわからず、頚椎捻挫用のギプスを装着し、痛み止めの薬をもらうだけ。ところが、痛み止めを飲んでも多少和らぐ程度で、6時間おきに飲むように言われた薬も、4時間後には飲まずにいられないほどでした。

 一番の問題は、横になって眠ることができないこと。壁に直角にもたれかかり、座って休むことしかできない。肉体的にも疲弊し、痛み止めはさらに効かなくなり、食欲もない。数日間は病院、マッサージ、整体をハシゴもしました。それでも変わらず、一時は「もう死ぬ」と本気で思いましたね。

 3日もそんな状態が続き、プロゴルファーの友人に相談し、「活法」という整体の先生を紹介していただきました。柔道整復師の方も教わりにいくような大先生。指でポイントをササッと押し、筋肉のバランスのずれているところを治してくださいました。

 治療はポイントを押さえるだけで痛くもない。時間にしてほんの15分程度です。それなのに痛みは治まり、肩もある程度動かせるようになった。ギプスは自己治癒力が落ちるので外すように言われ、家で背泳のように腕を後ろに回す体操をするように指導されました。

 2日後、2回目の治療を受け、家に戻ってひと呼吸すると、首の付け根の左側から肩、右手に黒い疲れの塊が“スッ”と落ちた感じがありました。1週間ほど苦しんだ痛みが消えて、何もなかったように元に戻りました。

 どこかにぶつけたわけじゃないし、急に痛くなったので「ギックリ首」だったんだな、と私は理解しています。

 今考えると、準備運動もせずに寒い中、屋外のゴルフに出たのがよくなかった。加えて、猫に腕枕をして寝ていたのもいけなかったみたい。猫が私の腕で寝息を立てるともう可愛くて、毎晩腕を動かさないように注意して寝ていました。

 ギックリは、「同じ姿勢で動かない」ことや「冷え」がきっかけになるそうなので、そういった悪い行動が重なり、筋肉バランスを崩していたようです。

 でも一番の原因は、自分の体をいたわらずに年を重ねてきたせいだと思います。4歳からバレエを始め、足を上げたら耳元につくのが当たり前。そのつもりで、メンテナンスを怠っていた。舞台の仕事が入ると急に動かし、舞台が終わると、全く何もしない、の繰り返し。

 30代の頃にも舞台で背筋を痛め、馬油を塗って痛みを抑えたこともあったんですよね。でも、喉元過ぎれば何とやらで。そうやって体に悪いことを重ねてきた結果だったんだと思います。

 活法の先生のところへはその後、1回行ったきり。あとは教えていただいた腕回し体操をする程度で済んでいます。

 もう二度とあんな大変な思いはしたくないので、最近は股関節やひざに痛みが出ないよう、軽いストレッチを心がけています。あとは、血液をサラサラにするため、タマネギを食べるように心がけていますよ。

▽おかざき・ゆき 1953年、東京都生まれ。4歳から芸能活動を始め、ドラマ「おくさまは18歳」で国民的アイドルとして人気を博した。