5年前、59歳のときです。知り合いがセレブ向けの人間ドックをオープンさせたというので、試しに受けさせてもらいましてね。たまたま、十二指腸にがんが見つかったんです。
痛みなど自覚症状はまったくなかった。30~40代はバイクで毎年骨折、全身麻酔を9回もしましたが、この19年は健康診断なんて考えたこともなかったですしね。腹腔鏡手術で腫瘍を取ってみたら、がん細胞がプチプチいたので、2カ月後に十二指腸と膵臓、胃の一部を切り取り、小腸を引っ張り出してつなぐことになりました。
手術で5年後の生存率は50%。人によっては難儀な手術だと思うかも知れませんが、僕は5年後が半々なら、普通に生きていても変わらへん、ラッキーやなと思った。その頃、一番下の息子が1歳。この子を父親ナシにはできないし、海、山、魚釣りとまだまだ教えなきゃいけないことがある。「じゃあ生きたろか」と手術に踏み切った。
独白 愉快な“病人”たち