独白 愉快な“病人”たち

漫画家 まつもと泉(55)さん 脳脊髄液減少症 ㊦

まつもと泉さん(C)日刊ゲンダイ

 治療で症状が改善した脳脊髄液減少症ですが、2012年に転んで尻もちをついたことがきっかけで、症状をぶり返しました。そこでこの病気の治療の第一人者である国際医療福祉大学熱海病院の篠永正道先生のところに入院しました。念には念を入れて3カ月間、体を起こさずにいると、転倒前より状態も良く、なんとか普通の生活ができるようになりました。

 ただ日常生活では「脱水」と「力むこと」には注意しています。この2つが髄液が漏れる要因なので、常に経口補水液を持ち歩き、重い荷物は病気を説明して持ってもらいます。

 30年以上続いた夜型生活、睡眠、食事も規則正しく改めました。そして今、これまでの闘病記を作品にしようと執筆しています。脳脊髄液減少症に長年苦しんだ経験を経て、改めて創作意欲が湧いています。

 闘病中、温かい言葉で僕を励ましてくださったファンの皆さまにできる恩返しは、作品を発表することだと思います。また、長年の闘病中、いろんな面で助力し支えて下さった各出版社の皆さまにも心より感謝しています。最近外出できるようになり、漫画家仲間もイベントや飲み会に誘ってくださり、改めて「戦友」のありがたさも感じています。

▽まつもと・いずみ 1958年、富山県生まれ。84年連載開始の「きまぐれオレンジ☆ロード」は発売部数2000万部超。今夏、フランスで開催された日本の漫画カルチャーを集めたジャパンエキスポに招へいされ、海外でも絶対的人気を得ている。

3 / 3 ページ