臨床試験で症状改善 「プラズマローゲン」が認知症患者を救う

「それまで、純粋なプラズマローゲンを生体から大量に取り出すことが難しかったため、臨床研究は全く行うことができませんでした。しかしわれわれは、当初は鶏肉、現在はホタテ貝からより有用な質の高いプラズマローゲンを大量抽出する技術の開発と実用化に成功し、規模臨床的研究ができるようになったのです」(藤野武彦氏)

 12年にはプラズマローゲンをマウスに投与し、「記憶・学習能力を向上させる」「アミロイドβの蓄積を抑制する」「神経細胞を新生させる」など、認知症の治療と予防に有効であることを実証。14年にはアルツハイマー病(軽症・中等症)40人対象の臨床試験(単盲検)で、プラズマローゲン摂取の有効性を確認した。また、オープン試験(中等症・重症認知症)中間報告での改善効果が発表されている。

 例えば、こんな改善例もある。

 アルツハイマー病の男性(73歳)は、昨夏から急激に症状が悪化。トイレがどこにあるか分からなくなり、幻覚も見るようになった。妻との会話はかみ合わず、暴言や暴力も。夜間頻尿は1時間置きだった。

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