徹底解説 乳がんのなぜ?

「早期だから温存」「進行しているから全摘」ではない

右乳房の全摘出手術を受けた北斗晶(C)日刊ゲンダイ

「命が助かることを優先して全摘を選ぶ」と考える人もいるが、生存率と温存・全摘は別問題。温存か全摘かは、がんの状態と、自分の乳房をどうしたいかという価値観で決まる。

「早期だから温存でいける、と考えがちですが、早期でもがんが広範囲に広がっていれば、局所切除は難しく、全摘になります。進行がんでも局所切除が可能なら温存という選択肢が出てくる。早期だから温存、進行しているから全摘ではない」

 生存率は、リンパ節やほかの臓器への転移(浸潤性か非浸潤性か)が関係してくる。転移すれば生命の危機の可能性が出てくるので、適応があるケースには、転移を回避する抗がん剤治療やホルモン療法が行われる。

 抗がん剤治療の適応があり、術前でも術後でも可能な場合は、「手術の前に行う=術前化学療法」が最近の流れだ。

「術後の抗がん剤治療では、がんはすでに取り除いているので、抗がん剤の効果がわかりにくい。しかし、術前に使えば、がんがどれくらい小さくなるかで抗がん剤の効果の程度がわかり、術後の抗がん剤治療を効率良くできます」

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